新しい教科書ではデジタル教材が増え、「自立して学ぶこと」が求められています。
お子さんは新しい教材を使いこなせる準備はできていますか?
これからの学び方を知って、お子さんの未来を一緒に考えていきましょう!
目次
1.結論:教科書改訂の影響
2025年度中学校教科書改訂では、「生徒が自立して学ぶこと」が前提となっています。しかし、実際には子どもがデジタル教材を使いこなすことは簡単ではありません。保護者が子どもの家庭学習をサポートし、適切に管理する役割がますます重要になっていきます。
2.教科書改訂のポイント(英語)
今回の改訂は小規模なものとされていますが、特に英語の分野で大きな変化があり、生徒の学習環境が大きく変わります。この改訂から見えてくる3つのポイントをご紹介します。
2-1 デジタルコンテンツの充実
改訂版の教科書には、QRコードを使った多様なデジタルコンテンツが含まれています。例えば、文法解説動画、単語暗記アプリ、アニメーション教材などがあり、子どもたちが視覚や聴覚を活用しながら楽しく学べるよう工夫されていてます。つまり家庭でも学習を進められる設計になっています。
2-2 教員の働き方改革を背景にした設計
追加されたデジタル教材には生徒の進捗を管理する機能がなく、あくまでも生徒が主体的に学ぶことが前提になっています。授業では板書が減り、教科書やデジタルツールの活用が中心となります。
2-3 学習環境の変化と新たな役割分担
学校の授業が協働学習や探究学習に重点を置くようになり、基礎学力の定着や学習習慣を支える役割が塾や家庭学習に求められるようになります。ICT環境の整備によって、学習の効率化や効果の向上が期待されていますが、それを適切に使いこなせるかどうかが鍵となります。
3.想定される問題点
3-1 生徒がデジタル教材を使いこなせない
デジタルコンテンツの充実は一見すると便利ですが、生徒がそれを効果的に活用できるかどうかは別問題です。自立して学ぶことを前提としたシステムであっても、十分なサポートがない場合、生徒が学習に取り残される可能性があります。特に、学習意欲の低い生徒やデジタル機器の操作が苦手な生徒にとっては大きな壁となり、学力の差を広げる要因になります。
3-2 学力の二極化が進む可能性
デジタル教材を使いこなせる生徒とそうでない生徒や、自主的に勉強できる生徒と自主的に勉強できない生徒の間で、学力の格差が広がっていきます。この問題は、保護者には見えにくいので気付かないまま進行していくでしょう。結果として学力の二極化がさらに進むでしょう。
4.補足説明:英語の教科書の主な変化
英語の教科書について、改訂前の教科書と改訂後の教科書の内容にについて違いをまとめました。
4-1 デジタルコンテンツの拡充
改訂前: 教科書には主に紙ベースの教材が中心で、音声CDなどの補助教材が付属。
変化後:各教科書にQRコードを追加し、以下のデジタルコンテンツが利用可能になりました。
・文法解説動画(例: 光村図書)
・アクティビティモデル動画(例: 三省堂)
・単語暗記アプリやデジタルカード(例: 東京書籍)
・国際理解用の実写動画(例: 開隆堂)
4-2 授業のビジュアル化
改訂前:文字とイラスト中心の教科書
改定後:アニメーション、実写動画、視覚的要素が強化され、生徒の興味関心を引く構成へ移行(例: 三省堂、東京書籍)
4-3 語彙の扱い
改訂前: 語彙数が多く、学習負担が高いという声が多かった。
改訂後:
・中学校卒業時までの*「発信語彙」(読み書きの習得語彙)を最大20%削減(例: 東京書籍)
*発信語彙とは、生徒が実際に使えるようになることを目標とする語彙のこと。これに対して、「受容語彙」という、意味を理解するだけでよい語彙もある。
・語彙の総数は変えず、重要語彙を絞り込んだ。
4-4 文法学習
改訂前: 紙のテキストを用いた一律の文法学習。
改訂後:デジタル教材で文法の基本文を視覚的に解説(例: 開隆堂、光村図書)
4-5 英語の4技能(読む、書く、聞く、話す)が、4技能5領域に
改訂前: 「読む」「書く」が中心で、聞く・話す活動は補助的。
改訂後:
・各単元で「聞く」「話す」を重視し、*4技能5領域を統合的に展開(例: 三省堂)
・短時間学習用教材を活用し、特に「話す力」を強化(例: 光村図書)
*4技能のうち、話す力をさらに2つの領域(発表とやりとり)に分けたもの
4-6 授業時間
改訂前: 学習内容に比して授業時間が不足するという課題
改訂後:
・学校教育法施行規則に基づき、授業時数を年間140時間に抑制
・授業時間の一部を協働学習や個別最適な学びに充てる方針(例: 三省堂)
4-7 SDGsや社会とのつながり
改訂前: 教科書内での社会問題やSDGsへの記載は少なめ
改訂後:グローバル社会との関わりを意識し、SDGsに関するトピックを拡充(例: 東京書籍、教育出版)
5.私たち教育コンサルタントができること
お子さまが新しい学び方にスムーズに適応できるようにするためには、家庭の中で「なぜ勉強するのか?」という軸を持つことが大切です。保護者が家庭教育の軸を言語化し、信頼関係がある状態で子どもに伝えると子どもの行動は変わります。
私たちは以下のサポートを通じて、お子さまの成長をお手伝いします。
・家庭教育の軸を確立するアドバイス
・自立して学べる仕組み作り
・受験、不登校、スポーツとの両立といった問題への対応策の提案
自立して勉強すれば、どのような状況でも子どもたちにチャンスが必ず訪れます。「うちの子に合った学び方が知りたい」「勉強が続かなくて困っている」というお悩みがあれば、ぜひご相談ください。一緒にお子さまの未来をサポートさせていただきます。
執筆者の紹介
河野藤(かわのふじ)
札幌在住 社会人二人と大学生の母
趣味は旅行、読書、犬の散歩。
小中学生向け個別指導学習塾を24年間にわたり運営
2015年頃から「勉強する意味がわからない」と深く悩む子どもを目の当たりにし、教育コンサルタントとしての活動を開始
日本みらい教育コンサルタント協会代表
「子どもの可能性が広がり、家族が明るく元気になること」を目標に、日々活動中
みらい教育の理念
みらい教育では、教育の最終目標を「自立」と捉えています。
私たちは小中学生の家庭教育をサポートし、子どもたちが自ら考え行動し、目標に向かって進む力を育てることを目指しています。
具体的には、教育プログラム「みらい教育」で正しい学習習慣をつけたり、「みらいサポート」で受験、不登校など学習習慣以外のいろいろな課題をお母さまと一緒に解決したりしています。学習指導も可能ですので、どんなことでもお気軽にご相談ください。
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